【提言】LINEの履歴は消さないように!

皆様

お世話になっております。

PLUPです。

 

さて,今回は弁護士目線から見た日常生活への提言です。

平和な日々を送っているとつい自分はトラブルとは無縁だと思いがちですが,実はトラブルは常に身近なところにあります。

 

ご自身が事件の被害者になることだってあるだろうし,信頼していた人に騙されたり,裏切られることもあるかもしれません。

 

法的トラブルの当事者になってしまったとき,どうやって自分を守るのか。

 

私人間(会社間)のトラブルは,刑事上の加害者・被害者という構造のように一概に区別できないものなので,トラブルが発生したときにあなたには必ずご自身の言い分(主張)があるはずです。

 

もちろん,その言い分が法律的に通るものか否かは実際に専門家による検討が必要になってくると思います。

 

しかしながら,

いつか起るトラブルに対し備えておくことはできます。

それを以下,述べていきます。

 

言い分を分析的に区別すると,

「トラブルに至る経緯に対するあなたの認識している客観的具体的ストーリー」と

「これを前提とする相手に対するあなたの要望」に分けられ,それらを総合して,あなたがするべき法的主張が見えてきます。

 

このうち,

あなたの認識する客観的具体的ストーリーを裏付ける「証拠」を保存しておくことは今からでもできます。

 

例えば,

離婚事件の類でよくあるのですが,

「私はこれまで何年にもわたって配偶者から日々虐待を受けていました。精神的苦痛を被っていたから,今すぐ離婚したい。」

というご相談はよくあるかと思います。

皆さんも報道等でもこういったケースを目にすることはあるのではないでしょうか。

 

ご相談者様が深刻な顔で苦しい経験を口にされると,その全てを信じてあげたいという気持ちはどこかにあります。

 

ですが,「虐待」という言葉は事実そのものではなくて,「評価」であることには注意が必要です。

 

一聴しただけだと相談者様が仰る配偶者の行為が客観的に「虐待」とまでは評価できるか怪しいときがあります。

また,極端な場合「虐待」という評価の根拠となる事実が全くの嘘ということもあり得るわけです。

 

そこで,重要になってくるのは「証拠」です。

 

「身体的な虐待」にあっていたと仰られる場合には,その証拠として医師作成の診断書や怪我,アザの写真等が挙げられます。

それらの資料から看取できる怪我の部位,その程度から,およそ事故等によって発生したと考えるには不自然な物であったりすると,(どの程度立証できるかには種々差はありますが,)単にお話だけを伺うより強固に「配偶者からの虐待」があるのではないか考えることができます。

 

では,「モラハラ」等に代表される精神的虐待の場合はどうでしょうか。

例えば,「何か話すとすぐ配偶者から『うるさい』『だまれ』と恫喝される。」,「配偶者からお前は浅はかで軽率な人間だと言われた。」や「行為を何でもかんでも支配されて,束縛される。」等から,精神的苦痛を受けたというような相談があったとします。

 

しかしながら,これについても上記の身体的虐待と全く同じことが言えます。

 

そういった発言・行為が全く存在しない可能性はあります。

また,「うるさい」・「だまれ」という発言の直前に,ご相談者様の方が配偶者に対し,より強い表現で人格批判をしているケースだって考えられますし,「浅はかで軽率な人間だ」という発言が意訳で実際の発言自体はもっとオブラートに包まれたものの場合だってあります。

 

ですから,こういったケースにおいても「証拠」が必要になってきます。

身近なものでは配偶者との間の「LINE」のトーク履歴はとても参考になりえます。

普段の両者の関係性がありありと現われることがありますから,虐待の存在を裏付ける大切な証拠になることがあります。

 

ただ,ご相談を受ける際にままあることなのですが,「LINE」のトーク履歴が機種変更等の理由で消えてしまっている場合があります。

これは相談を受ける弁護士としても本当に残念なことですし,ご相談者にとってもよくない結果をもたらすことがあります。

 

…そこで,一番最初に戻るのですが,

いつトラブルに巻き込まれるともわからないので,「証拠」の保全は大切に行った方がよいです。

またまた説明が長くなりましたが,これが今回の記事のテーマでした。

 

まず手始めに,身近なLINEのトーク履歴について,携帯電話の機種変更などをされる際には,この記事を思い出していただきご自身のLINE履歴を残されると良いと思います。

 

お読みいただきありがとうございました。

以上です。